リレーエッセイ Vol.4



学びたいと思ったその時こそが学び時なのではないでしょうか

経済学部夜間主コース2018年卒 小池 宏晃



 日本の大学・大学院入学者のうち25歳以上の割合は極僅かで2%を切っています。これはOECD加盟国の平均約18%と比べても極端に低い数字です。「社会人の学び直し」という言葉を耳にする機会もあると思いますが、スローガンだけが一人歩きして、社会人が学ぶための社会環境は整えられてはいません。さらに近年は各大学で夜間開講制の学部が縮小・廃止されるなど、社会人が大学で学ぶための選択肢が減ってきています。埼玉大学経済学部夜間主コースもその流れには逆らえず、募集定員が縮小されました。しかしながら、先生方が調整、ご尽力頂いた結果、継続することができているのだと思います。今後も社会人学生が学ぶ場として継続していくためには前身である埼玉経済短期大学部の卒業生、夜間主コースの卒業生、現在在籍されている学生の協力が必要になってくるはずです。自分達と同じように「学びたい」という想いを抱いた社会人が学べる環境を一緒に守って頂けたら幸いです。

 と、はじめから締めの挨拶のような文章を書いてしまいましたが、学生生活を振り返りたいと思います。2014年4月に入学してすぐに、夜間学生の交流、夜間主コースへの受験を考えている人への情報提供を目的として「埼玉大学夜間学生のための会」というサークルを設立しました。このサークルでは毎年むつめ祭に参加して、経済学部の先生方に講演して頂いたり、最後の年には学生発表も行いました。そして、むつめ祭に合わせて『ケースに学ぶ大学生活』という冊子を作って頒布もしました。これは翌年の新入生にプレゼントもしたので学生生活に役立てて頂けたかと思います。毎年、夜間主の新入生ガイダンス後に在学生相談会を開くのですが、これもサークルではじめたものです。現在では恒例行事にできて昨年も有志の学生が開催してくれました。「『文化祭は昼間の学生のものだから』と遠慮しないで社会人学生も参加しましょう」と始めたサークルとしては大成功だったのではないでしょうか。ただ、サークルでありながら学生アンケートを行って学部長との意見交換会もしましたし、どちらかといえば自治会的な面が大きかったかもしれません。
 2014年入学生までは昼間のゼミに所属することが可能でしたので、私は大石直樹先生のゼミに所属しました。2年で約30名の昼間主の学生達がゼミ仲間として受け入れてくれたことに今でも感謝しています。また、同じ学年の社会人学生も大石ゼミで共に学んでいましたが、その友人にも助けられました。ゼミではプレゼンバトルというイベントに参加したり、日帰りゼミ旅行で空港や企業を見学するなどの貴重な経験もすることが出来ました。大石先生には4年次に卒論の指導もして頂き、さきほどのサークル活動では顧問にもなって頂きました。埼玉大学で一番お世話になった恩師です。
 卒業後もOBとして在学生のみなさまと交流を持っていましたが、2019年からは経和会の自主ゼミ企画「学術入門」で指導や、講師の手配を行うなど、受講された学生のみなさまとはより交流を持つことができました。「学術入門」では夜間主コースの学生向けに夜間の時間には無い「情報基礎」や「アカデミック・スキルズ」などの内容を扱っているのですが、受講頂くことで講義への理解や課題での作業が捗るようになったという声も頂きました。昨年度は大学の教室で行っていたのですが、今年度は大学自体が遠隔講義になってしまっている状況ということもあり、この講座も遠隔で開催しました。自分自身も遠隔での開催に際して動画編集を学び、オンラインでの指導を経験することができました。卒業後も在学生と関わることで学ぶことが多くあり、様々な出会いがあるというのは夜間主コース、社会人学生ならではかもしれませんね。
 つらつらと私の大学生活とその後を語ってしまいましたが、社会人学生はその想いや背景が千差万別であり、あまり参考になることはないかと思います。ですが、社会人学生であっても自ら積極的に動くことでより良い大学生活を過ごすことができるということは伝わったのではないでしょうか。リレーエッセイでは在学生に向けて先輩からメッセージを送るという趣旨でみなさま書かれていると思いますが、私は夜間主コースで学んだ社会人学生なので、「社会人」に向けて、社会人学生の大学生活や経験を書かせて頂きました。

 このエッセイをご覧になっている社会人のみなさま、ぜひ埼玉大学経済学部夜間主コースに受験してみてはいかがでしょうか? ご覧になっているのは卒業生が多いのでしょうけれど、もう一度入学して今の大学生活がどのような環境下にあるのかを知って頂きたいです。また、受験生の保護者のみなさまもこのエッセイを見ていらしたら受験を考えてみてください。お子さんが大学生という社会人学生の方も何人もいらっしゃいますよ。ちなみに最初に締めのような挨拶を持ってきたのはこの勧誘で締めたかったからです。笑
 社会人が大学に入るのはそれぞれに想いや背景があると思いますが、みなさん共通しているのは、「学びたいと思ったその時こそが学び時なのだ」ということです。これからも埼玉大学で学んでいく社会人学生のみなさまが楽しく学ばれることを願っています。



2015年むつめ祭にて

2019年自主ゼミ企画「学術入門」にて

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