リレーエッセイ Vol.3



「私について」

経済学部夜間主コース2010年卒 田代 秀一



<プロローグ>
 皆さんこんにちは!
 私は経済学部の夜間主コースで2010年に卒業した田代秀一と申します。26歳で入学し30歳で卒業しました。この度は大変僭越ですが「私について」というテーマでリレーエッセイを書かせて頂きます。読みやすいように<プロローグ><大学在学中><大学卒業後><現在><これから><最後に>の順に書かせて頂きます。皆さんに読んで頂くほどのものではなく甚だ恐縮ですが、ご指名を承りましたので寄稿させて頂きます。

<大学在学中>
 大学在学中は家業であるホテルを経営しながら、母親も介護しながら、青年会議所の活動もしながら大学に通っていました。4足の草鞋を履きながらの大学生活はとても余裕がなく、常に時間やスケジュールとの戦いでした。それでも、埼玉大学で過ごした時間や経験は今でも大切な思い出です。
 大学在学中に一番思い出に残ったことはやはり友人とのとりとめのない会話や一緒に飲みに行ったこと、それから当時夏休み中に秩父の山奥にある大学の合宿所に1泊2日で行った短期講習です。
 友人とのくだらないとりとめのない会話や飲み会は、時間がなくスケジュールがタイトな私にとってはとても貴重な時間で、大学入学時にせっかく入ったんだから友人を沢山作りたいと思い、夜間主だけの学生で新入生歓迎パーティーを行おうとお店を予約したら当日になって人数が全然集まらなくて自腹で相当支払ったというオチや、やはり同じような年代で昼間は仕事をしながら大学に通っているという友人とは話が合い今でも交流を続けています。
 秩父の山奥にある大学の合宿所に行った短期講習は、とても素晴らしい内容で他では絶対に味わえないような経験をさせてもらいました。たった1泊の講習を受けるだけで1単位もらえたというのも大きなメリットでした。
 そのような昼間は仕事、夕方からは大学、夜から朝にかけては母親の介護、休みの日は青年会議所の活動を行っていた私にとっては、埼玉大学で学んだことはもとより、在学中に経験した様々なことが何よりの財産です。それから、一つだけ苦言を言わせて頂ければ、大学の講義はなぜだか労働者側の立場に立った講義が多く、経営者であった私からするとなぜそんなにも雇用する側を悪く言うのだろうかという内容が多かったです。是非、学生には雇用される側になるのではなく雇用する側になってもらい、自ら自分の道を切り開く人財になって欲しいと思います。

<大学卒業後>
 大学卒業後は少し落ち着いて家業と母親の介護に携われる時間が多くなり、青年会議所の活動も以前より活発に出来るようになりました。大体ですが私の大学卒業後30代前半は婚活~結婚~妻の妊娠、後半は妻の出産~青年会議所の活動で大忙し~母の死です。
 まずは前半についてですが、30歳を超えるようになり少し結婚を意識するようになりました。けれど、母親に介護が必要で借金も抱えているような奴と結婚してくれる人なんていないだろうと自暴自棄に陥っていました。そんな時たまたま行きつけのBARで知り合った人が仲人士で、お見合いだったらどんな人でも結婚できるというので半信半疑でお願いをしました。そうしたら何人かからお見合いの申し込みが来て、その時に妻と出会い3か月後にはプロポーズをして結婚しました。その後、入籍をし、結婚式を2回行い、中々子供が出来ず不妊治療も行い、タバコを辞め、数年後にやっと子供を授かりました。良く結婚は地獄だとか言う人もいますが、私にとって結婚は本当に素晴らしいもので、男の私には死んでも分からない痛みと苦労をして子供を出産してくれた妻には頭が上がりません。
 その後、後半についてですが、妻の出産後当時青年会議所でアジア太平洋地域の開発を任されていた私は子供が生まれたばかりなのにもかかわらず、頻繁に家を空けて世界中飛び回っていました。今思えば妻に大変申し訳なかったなと思います。しかしながら、そのおかげで掛け替えのない経験と思い出と人脈を築くことが出来ました。そして、そのような生活を続けている間に徐々に母の様態が悪くなっていき、ついに2018年の12月初旬に主治医からもう長くないと通達され、約1か月後の2019年1月7日に亡くなりました。とても辛かったですが、約13年介護を続けその間に大学にも通い卒業し、結婚もして孫の顔を見せることも出来たので、少しは親孝行出来たかなと思っています。最近では結婚しない人も増えてきて親に孫の顔を見せない人も増えてきましたが、私は最大の親孝行は結婚して孫の顔を親に見せてあげることだと思います。当然ちゃんと子供を育てないのであれば子供を作るべきではないと思いますが、私にとって子供は掛け替えのない宝物です。

<現在>
 現在は皆さんご承知のように新型コロナウィルスのせいで家業であるホテル経営は大変危機的な状況にあります。売上や利益は今まで一度も見たことがないほど落ち込み、会議や宴会等の利用はほとんどありません。それに、コンサートやイベント、結婚式等も一切なくなり、その需要によって支えられていた我々ホテル関係者はお客様を獲得しようと必死に営業しています。また、最近では近隣に新しいホテルが続々とオープンし、ただでさえ新型コロナウィルスの影響で経営が苦しいのに、それに輪を掛けて競争が激化しています。特に私が経営するホテルは大宮で一番古いホテルで築40年以上経過しており、常に設備投資を行わなくてはならず、また非効率な古いシステムのせいで他のホテルに比べて余計にお金がかかります。そんな状況で日々生き残りを賭けて戦っています。

<これから>
 これからは本当に未来がどうなるか見当もつかず、それこそこの新型コロナウィルスの状況が続けばホテルの経営を続けていくのは難しいと思います。しかし、それでも家族を養っていくためにも、従業員の生活を守っていくためにも、何かしらの新しいビジネスを始め利益を創出していかなければ生きていけません。そのためにも常にアンテナを張り、有益な最新の情報を掴み、それを経営に生かしていくということを地道に行っていくしかないと思います。その点では、当時青年会議所で培った経験と人脈が今とても活きています。一つだけ私が青年会議所で学んだ大好きな言葉を紹介させて頂きます。
「人は人でしか磨かれない」
とにかく人は成長することだけしか今を維持し、今以上の幸せを享受することは出来ません。今のままで良いと言っている人は、落ちていく一方です。そのためにも今は難しかもしれませんが、出来るだけ多くの人に会い、色々な考えを吸収し、それを自分自身の成長の糧とする。これだけが今後人生を有意義に幸せに暮らす唯一の道です。私はその考えのもと、これからも沢山の人に出会い、多くの考えを吸収し成長していきたいと思います。

<最後に>
 偉そうなことやくだらないことを長々と書いてしまい、最後まで読んで頂いた方には本当に申し訳なく思います。また、多くの先輩諸兄がいる中このようなエッセイを寄稿いたしますこと甚だ恐縮でお恥ずかしい限りです。それでも、「私について」のこのエッセイが読んで頂いた方の少しでも何かしらのヒントや有意義なものに繋がれば大変嬉しいです。
 最後に埼玉大学がこれからも世の中をリードしていく人材を多く輩出し続け、社会に必要とされる人材となるべく日々研鑽を積む学生に多くの学びの機会を提供し、広く門戸を開放し続けることを祈念し終わりとします。

「ご拝読誠にありがとうございました」


PIOLAND HOTEL  https://www.pioland.co.jp/index.php



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