寄附講座等

埼玉大学経済学部寄附講座について


経和会長 舘 逸志

 埼玉大学経済学部への経和会による寄附講座は、平成29年度に、当時経和会の理事をしていた私が、経和会企画委員会の了解を得て大学に申し込み、平成30年度~令和3年度までの予定で開設されたものです。
 初年度は「実践ベンチャー論―埼玉を中心とする創業経営に学ぶ―」として第2タームに開講し、令和元年度以降は、第2タームの同講座とフィールドワークを夏季集中に実施する「実践ベンチャー論II」も拡大して実施しました。令和2年度以降は、コロナウィルス感染によるキャンパス閉鎖に伴い、第2タームの座学はオンライン講義及びハイフレックスで実施し、夏季集中はリアルのフィールドワークとして実施しました。教育システムとしては、ノンフィクション作家で教育者の関口暁子氏に開発頂いたアクティブラーニングによる教育プログラムで好評の中、4年間開講してきました。
 この間、経和会の支援の下、クラウドファンディングを実施し、また、故池田先輩からご寄付を頂くことにより、令和4年度からの第2期開講が実現しました。今年度からは、経和会に教育委員会を発足し、これまでの2名の教官による体制から、経和会教育委員会の2名を加えて、4名体制で第2ターム及び夏季集中講座を実施してきています。

 開講の趣旨は以下の通りです。


趣 旨

 埼玉大学は首都圏国立大学として明治以来開学の埼玉師範や理科教育で勇名をはせた旧制浦和高校などを起源として、拡大、発展を遂げてきた。しかしながら、首都圏郊外立地国立大学の宿命として、地元との絆は必ずしも強固とは言えず、卒業生の多くは東京本社の企業に就職し、大学との繋がりは薄く、卒業生の同窓会活動も地方国立大学の中で活発とは言えない。
 埼玉県をはじめとする首都圏では多くのベンチャー、中小・中堅企業が地域経済を支えているが、これらの企業においては事業継承、人財獲得が大きな課題となっている。
 一方、学生の就職においては、安易な大企業、公務員志向から抜け切れていない。日本社会や学生の将来を考えれば、大組織に依存するばかりではなく、新たな社会課題に挑戦して事業を起こしていくような若者を育てることこそ重要である。
 本寄附講座は、埼玉の地域産業・経済の実態、埼大OB及び地元企業の創業経営者等から企業経営の実態を学ぶ場を提供し、大学と地域産業の連携強化を図ることを目的とする。


寄附講座の名称

実践ベンチャー論I及び同IIフィールドワーク 埼大OB・地元経営者に学ぶ
(埼玉大学経済学部専門選択科目各2単位)


開設時期

2018年度~2025年度


実施状況:

2024年度実践ベンチャー論報告書

学術入門講座

 埼玉大学経済学部夜間主コースは「社会人の学び直し」のニーズに応えるべく、基盤科目など合計40単位を放送大学で履修する制度を導入後、社会人学生の場所的・時間的制約による負担を減らし、学習しやすい環境が整えられました。その一方で、放送大学にはない”埼玉大学での学び”に必要な情報を得る機会がないために戸惑ってしまう学生の姿も見受けられました。学び直しの場には様々な背景を持つ社会人が入学します。昼間主コースに入学する学生と同様に初めて大学生活を送る人も少なくありません。大学を一度卒業したことがあってもブランクが長い人もいます。在学生を含めて、これからも入学してくる社会人学生にとって、何か支援ができないかと始めたのが「自主ゼミ」になります。
 この自主ゼミは時間割に入る講義ではなく、単位とは関係のない自主的な形で開講しています。内容は昼間の時間帯に開講されている「情報基礎」や「アカデミック・スキルズ」といった大学で学ぶ際に必要となる情報検索技法、執筆・分析・発表技法を扱います。指導は卒業生や大学院修了生が行いますが、時には特別講師による講義や講演も開催しています。2019年度は経済学部の先生や活躍している研究者、専門家など、国内外12名の講師に登壇して頂きました。また、会場は大学内の教室を使わせて頂いており、これには経済学部の同窓会活動への理解だけでなく、夜間主コースの学生に対して学びを楽しんでほしいという思いも感じています。
 夜間主コースの社会人学生にとって経和会は身近な存在ではありませんでしたが、自主ゼミを開講することで社会人学生と経和会との距離が近付くきっかけになれば嬉しい限りです。
 2020年度は様々な事情から当初は中止を決めましたが、学生からの要望があったために5月より大学の講義と同様に遠隔形式で開講することになりました。自主ゼミを通した社会人学生との交流の中で「学びたい」という気持ちの強さを感じずにはいられません。夜間主コース卒業生のみなさまも是非、現在学ばれている学生を支援、応援して頂けたら幸いです。

経和会理事 小池 宏晃
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